ボーイスカウト新潟連盟 県コミッショナー 所信表明
2025年3月1日
このたび、2025年1月よりボーイスカウト新潟連盟の県コミッショナーを拝命いたしました。まず初めに、これまで長きにわたり新潟連盟の発展と充実のためにご尽力いただいた歴代県コミッショナーの皆様、そして各地区・各団で日々スカウト教育に向き合ってこられた指導者の皆様、さらには地域でボーイスカウト活動を支えてくださる多くの関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
私自身、これまで新潟県内の様々な活動に関わる中で、キャンプで汗を流すスカウトの姿や、ジャンボリーなどの遠征の夜に焚き火を囲んで夢を語るスカウトの言葉に、何度も胸を打たれてきました。また、夏のキャンプで早朝から準備をするリーダーの背中や、寒空の下でも笑顔で見守る保護者の姿から、スカウト教育は本当に多くの方々の支えによって成り立っていることを改めて実感してきました。こうした先輩方の思いと実践が積み重なってきたからこそ、今の新潟連盟があるのだと感じています。私は、その思いを受け継ぎながら、次の世代へ確実に繋いでいく役目を担っていきたいと思います。
この新しい役をお預かりするにあたり、私が最も大切にしたいと考えているのは、「Scout First」という基本理念です。スカウト一人ひとりの成長を何より大事にし、「ここにいるから自分は成長できる」「この経験があったからこそ、自分は変われた」と思ってもらえる活動を、連盟全体でどれだけ作っていけるか。そこを常に自問自答しながら、連盟運営を進めていきます。
スカウトたちが主役であること。この原点を決して忘れず、スカウト目線で活動を見つめ直すことが、これからの連盟には必要です。過去に参加したジャンボリーなどの野営大会でも、スカウトたちから「もっと自分たちでやれることを増やしたい」「大人が考えたプログラムじゃなく、僕らのアイデアも取り入れてほしい」という声がありました。スカウト自身が活動の主体となり、やらされるのではなく、自ら動きたくなる場を作っていく。そんなスカウト本位の活動を、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
一方で、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。少子化は年々深刻さを増し、子どもたちの生活はますます多忙になっています。学校の行事、習い事、部活動、塾、そして家庭の事情——。その中で「ボーイスカウト」を選んでもらうには、これまで以上に私たちの活動の魅力や意義を伝える努力が必要です。特に、スカウト数の減少は、新潟連盟だけでなく全国共通の課題です。新しい子どもたちに「面白そう!」「自分もやってみたい!」と思ってもらえるよう、時代に合った広報や地域との連携も強化していきます。
たとえば、地域の防災訓練にスカウトが積極的に関わり、ボーイスカウトの強みである「実践力」を見せる。あるいは、子ども食堂や地域清掃にスカウトがリーダーシップをもって参加し、地域課題に寄り添う活動を増やしていく。そうした地道な活動の積み重ねが、地域社会からの信頼や共感につながると考えています。
また、スカウト活動の最終的なゴールは、地域社会への還元です。キャンプやハイキング、ゲームだけで終わる活動ではなく、スカウト活動を通して身につけた知識やスキル、チームワークを、地域のためにどう活かしていくか。自分たちの住む地域に何が必要かを考え、スカウト自身が「自分ごと」として行動する力を育てる。これこそが、私たちが目指すスカウト教育の本質です。
そのためには、指導者の役割が非常に重要です。スカウトを支える指導者が、正しい知識と教育観を持ち、スカウトに寄り添う存在であること。指導者が「学び続ける姿勢」をスカウトに見せることこそ、最高の教育です。今後は、指導者自身が成長できる場を増やし、学び続けるリーダーを全員で目指していきたいと思います。キャンプ技術やプログラムスキルだけでなく、今の社会課題や子どもたちの心に寄り添う知識など、時代に即した指導者研修を充実させていく考えです。
そして、未来を考えたとき、次世代へのバトンタッチも避けては通れません。これからの新潟連盟を支えるのは、今のスカウトたちです。特にローバースカウトやベンチャースカウトには、「自分たちが新潟連盟を作っていくんだ」という意識を持ってもらえるよう、積極的に連盟運営にも関わってもらいます。昨年、ローバースカウトから「自分たちの声をもっと連盟に届けたい」と言われたことが強く印象に残っています。ユース世代が自分たちの手で未来を作る。そんな流れをみんなで作っていきましょう。
新潟連盟がこれからも地域社会に信頼され、子どもたちにとっては「ここでしかできない経験がある場」であり続けるために、連盟・地区・団が一丸となり、知恵と力を出し合うことが大切です。私自身、皆さんと同じ目線で悩み、考え、ともに前に進む仲間として、この大きな役割を果たしていきます。
どうか今後とも、引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
2025年3月1日
ボーイスカウト新潟連盟
県コミッショナー 牧島宏之